地球の自転速度が加速中!? 閏秒の廃止議論にもつながる最新動向

はじめに

最近、にわかに科学ニュースで話題となっているのが、「地球の自転速度が急上昇している」という驚きの情報です。一見するとSFのような話ですが、これは実際に観測されている現象であり、私たちの生活にも影響を及ぼす可能性があるとして、専門家の間で活発な議論が交わされています。今回は、この地球の自転加速の背景と、それがもたらす影響について見ていきましょう。

地球が自転している証である、イランの火山、ダマーバンド山の斜面に咲く野生の赤いケシの上に広がる星の軌跡。


地球の自転は常に変動している?

私たちにとって、地球の自転は「1日=24時間」という変わらないものと思われがちです。しかし、実は地球の自転速度は、常にわずかに変動しています。

これまで地球の自転は、長い時間をかけて徐々に減速していると考えられてきました。これは、月と地球の引力による潮汐摩擦などが主な原因とされています。そのため、原子時計が刻む正確な時間とのズレを調整するために「閏秒(うるうびょう)」が挿入されてきました。

ところが、最近の観測で、この傾向に変化が見られています。


何が起きている? 自転速度の「急上昇」

近年、地球の自転速度が加速傾向にあることが観測されています。特に、2020年以降、地球は過去50年間で最も速い自転速度を記録するようになり、2020年7月19日には、過去最短の1日(23時間59分59.9989秒)を記録しました。この加速傾向は現在も継続しており、まさに「急上昇」と表現される状況です。

考えられる原因(諸説あり):

  • 地球内部の変動: 地球の核やマントルの動き、特に液体の外核の対流の変化が、地球全体の回転速度に影響を与えている可能性が指摘されています。
  • 氷河の融解: 地球温暖化による氷河の融解が、地球の質量の分布を変化させ、回転慣性に影響を与えているという説もあります(フィギュアスケート選手が腕を広げたり閉じたりするのと似た原理)。

現時点では、特定の原因が断定されているわけではなく、複数の要因が複雑に絡み合っていると考えられています。


私たちの生活への影響と「閏秒」の廃止議論

この自転速度の加速は、私たちの日常生活に直接影響を及ぼすほどのものではありません。しかし、精密な時間を扱う分野、特にGPS、通信ネットワーク、金融システムなどでは、わずかな時間のズレも大きな問題となり得ます。

これまで自転の減速に合わせて挿入されてきた閏秒は、まさにこのズレを調整するためのものでした。しかし、自転が加速し続けると、今度は「負の閏秒(マイナスの閏秒)」を挿入して、時間を短縮する必要が出てくるかもしれません。

この「負の閏秒」は、システムの処理に大きな負担をかける可能性があり、技術的なリスクが高いとされています。そのため、国際的な機関では、この自転速度の変動を受けて、そもそも「閏秒の廃止」を検討する動きが加速しています。もし閏秒が廃止されれば、私たちの時間は原子時計の正確な時刻で統一され、地球の自転とのズレは吸収されることになります。


まとめ

地球の自転速度が加速しているというニュースは、宇宙と地球のダイナミックな繋がりを改めて感じさせてくれます。これは、単なる科学的な興味だけでなく、現代社会のインフラを支える「時間」の管理にまで影響を及ぼす、重要なテーマです。

今後の地球の自転の動向、そして閏秒をめぐる国際的な議論の行方には、引き続き注目が集まることでしょう。このようなことはどうも他人事のように聞こえてしまいそうですが、実は私たちの生活を大きく変えてしまうのかもしれません。

引用元

:https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/25/072300406/

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