
はじめに
近年、ニュースなどで「非正規雇用の増加」という言葉を耳にする機会が増えました。なんとなく「問題なんだろうな」とは感じつつも、具体的にそれが私たちの生活や社会にどのような影響を与えているのか、深く考えることは少ないかもしれません。今回は、この非正規雇用が増加している現状とその問題点について考えてみましょう。
非正規雇用ってなに?
まず、非正規雇用とは、正社員以外の雇用形態を指します。具体的には、パートタイマー、アルバイト、契約社員、派遣社員などがこれにあたります。
日本では、かつて「終身雇用」が一般的でしたが、バブル崩壊後の経済状況の変化や企業の人件費削減の動きなどから、非正規雇用が急速に増え始めました。今や働く人の約4割が非正規雇用というデータもあります。この4割は新卒のみで統計を取っても同様な割合を占めていると言われています。

正規雇用と非正規雇用の推移
非正規雇用増加の背景にあるもの
非正規雇用が増えた背景には、主に以下のような要因が挙げられます。
- 企業のコスト削減志向: 景気の変動に対応しやすく、人件費を固定費から変動費にすることで、企業の経営リスクを低減できます。
- 働き方の多様化ニーズ: 育児や介護、学業との両立、あるいは特定の期間だけ働きたいといった個人のニーズに合致する場合があります。
- 法改正の影響: 派遣労働の規制緩和など、法的な後押しがあったことも要因の一つです。
非正規雇用増加がもたらす問題点
しかし、非正規雇用の増加は、多くの問題を引き起こしています。
- 雇用の不安定さ: 契約期間が定められていることが多く、契約更新がされなければ職を失う可能性があります。これは生活基盤の不安定さにつながります。
- 低賃金・待遇格差: 正社員に比べて賃金が低く設定されていることが多く、賞与や退職金がないケースがほとんどです。福利厚生面でも差があることが多く、いわゆる「同一労働同一賃金」の課題が残ります。
- スキルアップ・キャリア形成の機会損失: 専門的な研修や重要な業務を任される機会が少なく、長期的なスキルアップやキャリア形成が難しい場合があります。
- 社会保障の不十分さ: 年金や健康保険などの社会保険への加入条件が厳しく、未加入のまま働いている人も少なくありません。これにより、老後の生活や病気になった際の保障が不十分になるリスクがあります。
- 消費低迷への影響: 所得が安定しないことで消費が冷え込み、日本経済全体の成長を鈍化させる要因にもなりかねません。
私たちにできること、社会に求められること
非正規雇用の問題は、個人だけでなく社会全体で取り組むべき課題です。
- 個人として:
- 自身のスキルアップに努め、市場価値を高める。
- 複数の収入源を持つ「複業」を検討する。
- 社会保障制度について正しく理解し、活用できる制度がないか確認する。
- 社会として:
- 同一労働同一賃金の徹底: 同じ仕事内容であれば、雇用形態に関わらず同じ賃金・待遇にすべきという原則をさらに推進する。
- スキルアップ支援の強化: 非正規雇用者でもキャリアアップできるような教育・研修制度を充実させる。
- 社会保障制度の見直し: 非正規雇用者が安心して働けるよう、社会保険の適用範囲を拡大するなど、セーフティネットを強化する。
まとめ
非正規雇用の増加は、個人の生活に直接的な影響を与えるだけでなく、社会全体の活力にも関わる重要な問題です。企業は持続可能な経営のために、国は安定した社会を築くために、そして私たち一人ひとりが安心して暮らすために、この問題に真剣に向き合い、改善に向けた具体的な行動を起こしていく必要があります。そのためにも政治から変えていかなければならないため、投票率が上がらないことにはこの問題は永遠に解決しないだろうと考える。
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